(一)この世界ごと愛したい
そこへレンが治療道具を抱えて部屋に来てくれた。
慣れた手つきで私の足を手当てしてくれる。
思いの外腫れているので、骨が折れてないことを願うしかない。
「ありがとう。」
「…元はと言えば狙われたのは俺だから。お礼を言うのは寧ろこっちだよ。」
レンは責任を感じているのか、少し元気がないように見える。
…無理もないか。
仮にも兄があんな馬鹿で外道で、そんな奴にあそこまで言われたら。
「けど状況は最悪だな。」
「まあねー。」
「エリクを黙らせられそうなセザール王は不在。実質今、誰もアイツを止められない。」