(一)この世界ごと愛したい



だけど、仮にも敵国で。


自由に動き回れないこの国で。




私に出来ることは限られる。




「…レン様、一応聞くけど。このままだとエリクに殺されちゃうの理解出来てる?」


「うん。」



分かっててあんだけ無防備なら潔いな!?




「君との結婚を父から言い渡された時、兄はひどく激昂していた。兄が父に歯向かう姿を、あの時初めて見た。」



そうか。


その時はまだエリクは王宮にいたんだ。




「それから怒った父が兄を左遷して、今は離れた城で暮らしているはずだった。」


「でも、今日の感じを見ると暗殺のために刺客を放ったのは恐らくスーザンじゃなくてエリクだろうな。」


「そんな気はしてた。」


「んで、暗殺が上手くいかない。セザール王も不在の状況を見て帰ってきたってことか。」




るうとレンが会話しているのを薄っすら聞きながら、私は今後の展開を考える。



…が。


良策といえる策は浮かばない。



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