(一)この世界ごと愛したい
そーんなに優しい人なんだ。
あの性悪愚王の息子だから大した期待もしてなかったんだけど。
「レン様もいよいよご結婚…。年寄りの私からすると成長が早くて感慨深いです。」
「レン…様と言うんですね。」
「ええ。あなたとレン様が並ぶ姿、さぞお美しいでしょうな。」
勝手に想像してうっとりするな。
でも、そんなに綺麗で優しい人もセザールにはいるんだな。もう勝手に全員敵だと思ってた。
「あ、いけない!条約のお話があるんでしたよね!話し込んでしまってすみませんでした。代理をすぐ連れて参りますので、ごゆっくりお寛ぎください!」
私は慌てる様子を装い、部屋を出る。
本当はもう少し、情勢だったりセザールに関する情報を得たいところなのだが。
あまり行き過ぎたことを聞いて、警戒されるとそれはそれで面倒だし。一先ず戦いにしか興味のない馬鹿と印象付けたいというのが私の考え。
「…特異な、王子か。」