(一)この世界ごと愛したい




「そういえば、今回の件でセザールにお嫁に行くことが決まったんですけど…。その、セザールの国の皆さんは、やはり戦いで剣を交えたことのある私をお恨みになっているんでしょうか…?」


「一部の軍人にはあり得る話かもしれませんが、私たち文官からすると、神と対話しているような、寧ろ恐れ多い気持ちですよ!」




…となると、王族と軍部は多少隔たりがあるわけか。


信仰心溢れる王と、それを理解できず自国を思う軍部の人間。自国の兵を軽んじる愚王の極みだな。




「そんな…私は神とは程遠いただの人間です。」


「その美しさがまさに人を現しているようですよ。」




うー、気持ち悪い。


こんなおっさんに褒められてもなー。





「と、ところで…私の夫となる第三王子のことを知りたいんです。私は社交的でもないので、お見かけしたこともなくて。」


「ああ、そうか!やっぱりあなたは運もいい!」


「お優しい方でしょうか?」


「それはもう!私が保証しますよ!レン様は王子の中でも特異で、優しい方です。優しいが度を超えているのか戦争の経験がまだありませんで…。姫様が知らないのも無理はないですね。」



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