(一)この世界ごと愛したい
ガタッと音を立てて、馬車は止まる。
そして外からは異国文化なのか、荘厳な鐘の音が聞こえる。
「絶対、一緒に帰るぞ。」
「もちろん。」
るうは、そう言って先に馬車から降りる。
私も用意していたベールのような布を頭から被り、続いて馬車を降りた。
柄ではないが、エスコートしてくれるるうの手を取り、外の景色をベール越しに見渡す。
「……。」
アレンデールの城とはまた違う。豪華な宮殿のような宮構えで、煌びやかな女性たちが通路を開けて頭を下げ、並んでいる。
この光景だけでも、セザール王の人柄が分かる。
女は黙って従えと言わんばかりの処遇に、私は眉を顰めることしかできなかった。
「アレンデールの姫。ようこそお越しくださいました。王宮へご案内いたします。」
そう膝を付き申し出る者。
王の使者だろうな。
「よろしくお願いします。」
できるだけお淑やかに。
できるだけ平常心で。
ここでるうの手を離し、案内を受ける。
「こちらでございます。」
そこからしばらく男に続いて王宮内を歩く。
その間も集中を切らさないよう、王宮内の構造を頭に叩き込むよう努める。