(一)この世界ごと愛したい




馬車は国門を通るために停止しただけで、徐行でゆっくり再び動き出す。



セザールの王宮まで、このまま向かう。




「斬られても…は、約束してねえ。」


「今した。」


「屁理屈。」






「もう、引き返せないからね。」





不思議と、高揚している感覚さえある。




次に馬車が止まる時が、開戦の合図。



パパの悔しさも。


ママの悲しみも。


アルの覚悟も。



民の怒りも。






全部私が引き受けた。



この戦だけは、死んでも負けられない。






「リン、頼むから死ぬなよ。」




「私が戦で負けると思う?」




< 84 / 1,300 >

この作品をシェア

pagetop