(一)この世界ごと愛したい
馬車は国門を通るために停止しただけで、徐行でゆっくり再び動き出す。
セザールの王宮まで、このまま向かう。
「斬られても…は、約束してねえ。」
「今した。」
「屁理屈。」
「もう、引き返せないからね。」
不思議と、高揚している感覚さえある。
次に馬車が止まる時が、開戦の合図。
パパの悔しさも。
ママの悲しみも。
アルの覚悟も。
民の怒りも。
全部私が引き受けた。
この戦だけは、死んでも負けられない。
「リン、頼むから死ぬなよ。」
「私が戦で負けると思う?」