彼の溺愛の波に乗せられて
「帰ろう」

ギラつく瞳を隠しもせずに妖艶に微笑む天寿。

「天寿っ…大好きー」

わーんとまた懲りずに泣く私。

「ほら、あんまり泣いてたらキスできない」

天寿は私の涙をキスで舐め取る。

「私…天寿の奥さんになるの?」

鼻と鼻を擦り合わせながら話す。

「ああ。雅じゃないと俺の奥さんは無理だ」

そう言ってまたキスを交わす。

「んっ…はぁっ…」

甘く蕩けそうなキスに身体の奥がズクンと脈打つ。

そっと唇が離れまた鼻でキスをする。

「私も無理」

「雅と出会ったこの場所でプロポーズしたかったんだ」

「天寿…」

名残惜しそうに私から離れると天寿は車を発進させた。

マンションまでの道のりがこんなに長く感じた事があっただろうか。
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