彼の溺愛の波に乗せられて


「なんか嫌な思いでもしたの?」

「しまくりよ。マジで女運悪い」

そうなの?
意外だ。
むしろ振り回しそうなのに。

「てか俺今着替えるけど見る?」

そう言って下も脱ごうとする天寿。

「見ないわ! てか何でここに連れてきた!?」

バカじゃん!?

「いや危なっかしくてつい」

「いいから早く着替えてきてよ!」

私はそう言ってボードを持ってまた海に出た。

そしてウェットスーツに着替えた天寿がパドリングでいつものように少し距離をとって波に乗り出した。

でもいつもとちょっとだけ違う。

私を見て笑ってる。
何これ。楽しっ。

天寿はそのまま何回か見事な波乗りを見せた。

さすが元プロ。

納得でしかないな。
何で辞めちゃったんだか。
もったいない。

こんなところで遊んでるような人じゃないのに。

そんな事を思いながら、先に帰って行った天寿に手を振った。

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