彼の溺愛の波に乗せられて


「そっすね」

そう言って海の方へ向かう彰人。

「雅ー! じゃーなー!」

雅に向かってブンブン手を振る。

「彰人もねー! バイバーイ!」

雅も海から手を振った。
ここから見えるその表情からは彰人の事はあまり気にしてなさそうにも見えた。

「それじゃ行きますわ」

彰人はそう言って帰って行った。

時計を見ると俺もそろそろ戻らないといけない時間になっていた。

俺は雅に軽く手を振る。
すると気づいた雅がこっちに寄ってきた。

ははは。
可愛いな。

「天寿! 何話してたの?」

なんて言いながらちょんと結っていた髪を解いた。

「ん? サインくれだと」

まさか雅の過去の話を聞いただなんて言えずに、適当に誤魔化した。

「はは! なにそれー。バカじゃん彰人」

ケロっとしてんな。

「俺、そろそろ行かないと」

「あ、仕事中? てか何しにきたの?」

「時間空いたから見にきただけ」

「いなかったらどうすんのよ」

なんて言って笑う雅。

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