一途な海上自衛官は時を超えた最愛で初恋妻を離さない~100年越しの再愛~【自衛官シリーズ】
「慣れてないことをこんなに堂々と言うべきじゃないかな。これからはお互いにお互いのことを知ろうと言ったが、その結果、芽衣が俺に幻滅するということも考えられるわけだ」

 冗談ぽくそう言う彼に、芽衣はぷっと噴き出した。

「それは、大丈夫です」

 そのままくすくすと笑ってしまう。わからないことをわからないと白状している彼をなんだか少し可愛いと思う。幻滅するなんてことは、まったくない。むしろ素敵だと芽衣は思った。

 能力の高い優秀な人は自分の欠点やできないことを人に見られるのを嫌がることがあると知っているからだ。

 ホテル勤務時代、料理長のちょっとしたミスを指摘した先輩が、その後一日口をきいてもらえなかったことがある。

 それ以来、料理長のミスに気がついても誰も口にしなくなったのだ。

 でも晃輝はそうではないのだろう。きっとそんなところも、後輩たちが彼を慕う所以なのだ。

「よかった」

 晃輝がにっこりと笑って、芽衣の手を解放する。そして自分の携帯を取り出した。

「じゃあ行き先は一緒に決めようか。……ゆっくりできる方がいい? それかアクティブに動きたい?」

 彼はインターネットの検索画面を開き、"横浜、おでかけ"と打った。

 芽衣も画面を覗き込む。画面をスクロールするたびに次々に出てくるおでかけスポットに、胸が弾む。昨日の夜、自分ひとりで検索していた時はどこに行きたいか今ひとつわからなかったのに、今こうして彼と一緒に見ていると、どこも魅力的に思えた。

「芽衣はこのあたりで行ったことがあるところはあるの?」

「どこにも。私ここへ来てからほぼ、うみかぜとスーパーの往復だけです」

「じゃあ、どこもはじめてってことか。それはある意味ありがたいな」

 そう言いながら晃輝が画面をスクロールする。

 公園、テーマパーク、プール……。

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