一途な海上自衛官は時を超えた最愛で初恋妻を離さない~100年越しの再愛~【自衛官シリーズ】
「いや、好きだよ。最近はしないけど、子供の頃はよくやった。放課後友達と毎日海に通ったな。……だけど」

 躊躇して言い淀む。大丈夫なのかと心配しているのだろう。

「自分でも不思議なんですが、私、ここに行ってみたいです。釣りも楽しそうだし、たくさんの魚も見てみたい。生まれた街は田舎だったし、海の近くだったし。私、水族館って行ったことないんです」

「芽衣……それは、ご両親のことがあったからだろう?」

「そうなんですが……でも、自分でもよくわからないけど晃輝さんとなら行ってみたいと思いました」

 本心だった。彼となら自分ひとりではできないことができる。そしてもしかしたら今が、新しい一歩を踏み出す時なのかもしれないと思ったのだ。

 両親のことを笑って思い出したのも、父との思い出の釣りをやりたいと思ったのも、あの事故があって以来だったから……。

 思いを込めて彼を見ると、晃輝が少し考える。しばらくして口を開いた。

「なら行ってみようか。……だけどもし途中で、つらくなったら絶対に無理はせずにどのタイミングでもいいから言うように。せっかく連れて来てもらったのにとか余計なことは考えずにその時に言うんだ。約束できる?」

「はい、約束します」

 きっと彼ならば、本当にそうなっても優しく受け止めてくれるのだろう。そんなことにはならなさそうだと思いつつ、そんな彼とだからこそ行きたいと思った。
 
「了解、じゃあ。決まりだ。釣りは予約した方がいいのかな……」

 画面をスクロールしながら、詳細や現地までのルートを確認する晃輝の横顔を見つめながら、芽衣は胸がわくわくと弾むのを感じていた。
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