一途な海上自衛官は時を超えた最愛で初恋妻を離さない~100年越しの再愛~【自衛官シリーズ】
 その呟きに、芽衣は自分が晃輝を下の名前で呼んでしまったことに気がつく。ほとんど初対面の相手に馴れ馴れしかったかもしれない。

「す、すみません。つい……」

 ほとんど無意識だった。マスターが彼を下の名前で呼ぶのを聞いていたからだろう。

「いや、そう呼んでくれて大丈夫。ちょっと驚いただけだから」

 彼は言ってもう一度携帯の画面を確認した。

「それより時間は大丈夫?」

 その言葉に芽衣も自分の携帯を確認して、思っていたよりも時間が経っていることに驚いた。

 ホテルでのことを話した時はそんなに時間が経っていなかったように思えたのに、学校のことや料理のことを夢中で話しているうちに、いつの間にか随分時間が経っている。

「私そろそろ戻らないと。お昼休憩で抜けてきたんです」

 芽衣が立ち上がると、晃輝も立ち上がり申し訳なさそうにした。

「時間は取らないと言ったのに、申し訳ない」

「いえ、ほとんど私の料理の話でしたから。なんか、私のことばっかりお話ししすぎたかも……こちらこそすみませんでした」

 芽衣にとっては思いがけず楽しい時間になった。

 むしろ、関係のない話を延々と聞かせることになってしまい、申し訳なく思うくらいだ。今日は彼にとって貴重な休みだったかもしれないのに。

 料理の話になるとついつい夢中になってしまって、たくさん話してしまうのはちょっと困った芽衣の癖だ。

 晃輝が首を横に振った。

「いや、気にしないで。俺もすごく楽しかったし。……ただ」

 彼はそこで言葉を切って、少し困ったような表情になる。そして自分のお腹に手を添えて、ははっと声を出して笑った。

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