一途な海上自衛官は時を超えた最愛で初恋妻を離さない~100年越しの再愛~【自衛官シリーズ】
 にっこりと笑ってマスターは厨房へ入っていった。

 カウンターに置かれた定食を前に、ふたりでいただきますをする。

 でも芽衣は、隣で生姜焼きを食べる晃輝に視線が吸い寄せられ、箸を進められなかった。

 マスター特製の甘いタレを絡めた少し分厚めの豚肉を口に運び、白いご飯と一緒に食べる姿は、見ているだけで幸せな気分になる。もしまたここへ来てもらえるなら、今度こそ自分が味付けをした煮魚を食べてもらいたい……。

 仕事柄、人が食べる姿を目にすることは多いし、美味しそうに食べる人を見るのが好きなことには変わりないが、ここまで胸が高鳴るのははじめてだった。

「食べないの?」

 芽衣が箸を止めていることに気がついて晃輝が芽衣に問いかけた。

「あ……た、食べます」

 慌てて芽衣は自分も箸を動かした。

 一方で晃輝は、あっという間に食べ終える。水を飲みながらカウンターに肘をついて今度は彼が生姜焼きを食べる芽衣を見つめている。

「秋月さんこの前も俺が食べるとこじっと見ていたよね。やっぱり料理人としては食べるところは気になるの?」

「すみません。そうじゃなくて……。晃輝さんの食べ方、すごく綺麗だから好きなんです」

 頬が熱くなるのを感じながら芽衣は素直な思いを口にした。

「以後、気をつけます……」

「いや、いいよ。ただどうしてかな?と思っただけだから。だけどそんな風に言われるのははじめてだな」

「このお店に来られるお客さん皆さん、とても食事のマナーがいいです。たくさん食べてもらえるし、私見てるだけで幸せです」

 晃輝がふっと笑った。

「自衛官は訓練生活が長いから食事のマナーは身についているからね。そう言ってもらえるのは嬉しいな」

「訓練って厳しいんですか?」

「はじめはね。でも慣れてくるとそうでもないよ」

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