人質生活を謳歌していた虐げられ王女は、美貌の公爵に愛を捧げられる
「いたっ! あれではないですか?」
正門への道中、ノランド辺境伯が黒いフードを目深にかぶった男を指差す。
黒いフードの男は質素な素材の服に身を包み、一見すると王太子だとは分からない身なりをしていた。
だが、混乱する王宮内を数人に囲まれるようにしてコソコソと移動しており、その囲んでいる男たちの方に私は見覚えがあった。
全く執務をしない取り巻き側近の一部だ。
「間違いない。周りの者に見覚えがある」
私がそう返答すると、待ってましたと言わんばかりにノランド辺境伯が勇足でその集団へと距離を詰めて行く。
それに気づいたエドワード様の取り巻き側近が、怯えたように腰を抜かした。
エドワード様同様遊んでばかりで、戦場に出たこともない軟弱な取り巻きには、さぞや荒ぶる武将であるノランド辺境伯の姿が脅威に見えることだろう。
「ひぃぃぃっ……!」
「反乱軍です。王太子殿下、身柄を拘束させてもらいます!」
バレてしまってはしょうがないと思ったのか、エドワード様はフードをあっさり取り払って姿を現す。
そしてニヤリと笑ってノランド辺境伯を見た。
「王太子であり、次期王である私を拘束するだと? 父上が亡くなった今、私がこの国の最高権力者であると分かっていてこのようなことをしていると申すか?」
「もちろんですぞ。我々反乱軍は腐った王家にこの国の未来を託せません。この国のためにこうして蜂起したのです」
「そなたノランド辺境伯であろう? リズベルト王国との戦で褒章が少なかったことを不満に思っているとか。こんな反乱などせずとも金ならたんまり与えてやろう。私が王となったら重用してやっても良い。そなたの娘を特別に側妃にして寵愛を与えてやってもいいぞ。そうなればそなたも王族の縁戚だ。どうだ、いい話であろう?」
説き伏せる自信があるのかエドワード様は得意げに語り、ノランド辺境伯を懐柔しようとした。
だが、ノランド辺境伯をそれを即座に一蹴する。
「はっ、笑わせないで頂きたいですな。そんなくだらない話に私が乗るとでも? 確かに王家に反感を持ったのは先の戦争の件がキッカケでしたが、今やそれだけではありませんぞ。私はこの国の未来を真剣に憂いているのです。反乱軍の者は皆そうです」
「ふんっ、馬鹿馬鹿しい。国は王家の物なのだから、そなた達が憂う必要などないのだ。それに仮に反乱が成ったとして、誰が国を治めるというのだ? 国を憂うという割に、結局国に混乱をもたらすだけではないか」
「国は王家の物だと堂々と発言なさる王太子殿下はどのみち王の器ではございませんな。ご安心ください。我々は未来をちゃんと考えて反乱を起こしておるのです。なにしろ我々にはこの方がいるのですから、何の問題も不安もないのです」
そう言ったノランド辺境伯が振り返って私を見た。
その視線を追ったエドワード様はこの時初めて私の姿に気づいたようで目を見開いた。
正門への道中、ノランド辺境伯が黒いフードを目深にかぶった男を指差す。
黒いフードの男は質素な素材の服に身を包み、一見すると王太子だとは分からない身なりをしていた。
だが、混乱する王宮内を数人に囲まれるようにしてコソコソと移動しており、その囲んでいる男たちの方に私は見覚えがあった。
全く執務をしない取り巻き側近の一部だ。
「間違いない。周りの者に見覚えがある」
私がそう返答すると、待ってましたと言わんばかりにノランド辺境伯が勇足でその集団へと距離を詰めて行く。
それに気づいたエドワード様の取り巻き側近が、怯えたように腰を抜かした。
エドワード様同様遊んでばかりで、戦場に出たこともない軟弱な取り巻きには、さぞや荒ぶる武将であるノランド辺境伯の姿が脅威に見えることだろう。
「ひぃぃぃっ……!」
「反乱軍です。王太子殿下、身柄を拘束させてもらいます!」
バレてしまってはしょうがないと思ったのか、エドワード様はフードをあっさり取り払って姿を現す。
そしてニヤリと笑ってノランド辺境伯を見た。
「王太子であり、次期王である私を拘束するだと? 父上が亡くなった今、私がこの国の最高権力者であると分かっていてこのようなことをしていると申すか?」
「もちろんですぞ。我々反乱軍は腐った王家にこの国の未来を託せません。この国のためにこうして蜂起したのです」
「そなたノランド辺境伯であろう? リズベルト王国との戦で褒章が少なかったことを不満に思っているとか。こんな反乱などせずとも金ならたんまり与えてやろう。私が王となったら重用してやっても良い。そなたの娘を特別に側妃にして寵愛を与えてやってもいいぞ。そうなればそなたも王族の縁戚だ。どうだ、いい話であろう?」
説き伏せる自信があるのかエドワード様は得意げに語り、ノランド辺境伯を懐柔しようとした。
だが、ノランド辺境伯をそれを即座に一蹴する。
「はっ、笑わせないで頂きたいですな。そんなくだらない話に私が乗るとでも? 確かに王家に反感を持ったのは先の戦争の件がキッカケでしたが、今やそれだけではありませんぞ。私はこの国の未来を真剣に憂いているのです。反乱軍の者は皆そうです」
「ふんっ、馬鹿馬鹿しい。国は王家の物なのだから、そなた達が憂う必要などないのだ。それに仮に反乱が成ったとして、誰が国を治めるというのだ? 国を憂うという割に、結局国に混乱をもたらすだけではないか」
「国は王家の物だと堂々と発言なさる王太子殿下はどのみち王の器ではございませんな。ご安心ください。我々は未来をちゃんと考えて反乱を起こしておるのです。なにしろ我々にはこの方がいるのですから、何の問題も不安もないのです」
そう言ったノランド辺境伯が振り返って私を見た。
その視線を追ったエドワード様はこの時初めて私の姿に気づいたようで目を見開いた。