攻略不可能なクソゲーのヒロインに転生していたので、殺される前に離脱したい 〜溺愛ルート? 何それ?〜
ワトフォード公爵家の関係者だとバレないよう地味な服装に着替え、髪の毛も1つにまとめる。
物語を書いた紙も見つからないように引き出しに隠し、お金を持って部屋を出た。
ついでに1ヵ所くらい孤児院に行ってみようかな?
でも、できれば本ができてから行きたいな〜。どうせなら何か差し入れしたいし。
孤児院にいた天使たちを思い浮かべながら廊下を歩いていると、前からレオンがこちらに向かって歩いてくるのが見えた。
方向からして、図書室に向かっているのかもしれない。
レオンだ!
ピロン
『選んでください。
①こんにちは
②何やってるの?
③今日もいい天気ね』
いつも通り、レオンに会ったら出てくる選択肢がパッと現れる。
これ、今までなら無視する1択だったけど、今回は違うんじゃない?
この前、レオンは私に声をかけてきた。
新しい話を書いたら、1番に読ませてと言ってきた。
今までとは、あきらかに関係性が違うと言いきれる。
もう、声をかけていいんだよね?
じゃあここは……。
サッと指で①に触れ、レオンにニコッと微笑みかける。
「こんにちは」
「…………」