攻略不可能なクソゲーのヒロインに転生していたので、殺される前に離脱したい 〜溺愛ルート? 何それ?〜
レオンは、黙ったまますれ違いざまに横目で私の手元を見た。
お金の入った小さなバッグしか持っていないことを確認するなり、そのまま何も言うことなく通り過ぎていく。
ん!?!?
え!? 無視!?
レオンの後ろ姿を呆然と見つめていた私は、ハッとしてマイページを開いた。
ま、まさか……!
『好感度
エリオット……8%
ディラン……11%
レオン……14%』
レオンの好感度が1%下がってる!!!
そんな!!
1度会話をした仲なので、もう挨拶くらいはいいだろうと思っていた。
でも、どうやらそんな考えは甘かったらしい。
レオン!!! なんで!?
まだ声をかけちゃいけないってことなの?
この前は新しい話を書いたら1番に読ませてって言ってたのに、なんで…………って、え? そういうこと?
さっき、レオンは私の手元を見ていた。
あれはきっと、新しい話が書いてある紙を持っているのかどうかの確認をしたのだ。
何も持っていなかったから、無視をした。
つまり、レオンにとって本を持っていない私なんてミリも興味ないのだ。
「少しは仲良くなれるかもって思ったのに、本あってこそか……!」
レオン攻略に対する希望が、パラパラと砕け散る。
やはりこのクソゲーはそう簡単には攻略させてくれないらしい。