攻略不可能なクソゲーのヒロインに転生していたので、殺される前に離脱したい 〜溺愛ルート? 何それ?〜

 ゴクッと唾を飲み込んで、丁寧にノックをする。

 コンコンコン


「……ディラン様。フェリシーです」

「入っていいぞ」


 思ったよりもすぐに返ってきた声に、一気に緊張感が増していく。
 ドキドキドキ……と激しい鼓動を感じながら、ゆっくり扉を開けた。


「失礼します」

「できたのか?」

「……はい」


 私の部屋よりさらに広い部屋。
 でも白い家具の多い私の部屋とは違い、ディランの家具やカーテンは落ち着いた色が多くやけに部屋が暗く感じる。

 そんな部屋の真ん中にある丸いテーブルとシンプルな椅子2脚。
 そこにディランは座っていた。


「こっちに持ってこい」

「はい」


 飲食店でバイトしていたときを思い出しながら、私はできるだけ音を立てないようにソッとディランの前にお皿を置いた。
 もちろん、クッキーの顔がしっかりディラン側に向くように。



 お願い……っ!!
 もう、好感度は上がらなくてもいいから、3%以上減りませんように……!!



「…………」

「…………」


 シーーン……

 この部屋の中に3人いるとは思えないほどの、静寂。
 ディランは何か言葉を発するどころか、微動だにすらしていない。


 
 ……あ、あれ? 無反応??


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