地雷カプブルー

 
 予想外だったのか、輝星の瞳孔が開く。


 「このまま一緒にいたら、いつか輝星は俺のために死んじゃうんじゃないと思った。そう思ったら怖くて怖くてたまらなくなった。だから中学に入る前に決めたんだ。輝星とは距離をとろうって」


 幼稚園で出会って、輝星は俺に懐いてくれた。

 誰よりも俺を優先してくれるようになった。

 友達よりも俺。

 家族よりも俺。


 そうなるように輝星を調教したのは俺自身で、他の友達と輝星が話しているだけで嫉妬して、俺以外と遊ばないでとくぎを刺し、輝星が俺と一緒にいるときには、王子様笑顔を振りまきながら輝星をたくさんほめて、頭を撫でて、抱きしめて。

 アメと鞭を使い分けながら、俺にしか懐かないように輝星のマインドを変えていったんだ。

 そして……

 俺の愛情沼につき落とされ溺れた輝星が行きついてしまったのは、自分の命を捨ててでも俺を助けたいという自己犠牲の領域。
 やりすぎだったと懺悔したのは、輝星の命の炎が燃え尽きそうになったあの時だ。


 「僕がいつか死んじゃうかもって……そんなことで僕をさけてたの?」


 信じられないと言わんばかりに、輝星の表情が歪んでいる。

 そんなこと?

 輝星の命より大事なものなんてない。

 わかってもらいたい俺は、眉尻を上げ語気を強める。

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