地雷カプブルー

 「実際に輝星は、炎が燃え広がった部屋に飛び込んで行っちゃったでしょ! 輝星が焼け死んだらって怖くなったあの時の俺の気持ち、なんでわらかないの!」


 荒らげた声は予想以上の鋭さだった。

 怖の色に染まった輝星の瞳が震えている。

 俺は「大声を出してごめん」と頭を下げ、輝星から視線をそらす。


 小6の時、俺はアパート暮らしだった。

 アパートと言っても期間限定で、家を建て替えている間だけの借り住まい。


 学校帰りだった。

 ランドセルを背負いながら、輝星と俺のアパート近くに来た時だった。

 自分が住むアパートの方から黒煙が上がっているのを見つけたのは。

 輝星とともに走った。

 嫌な予感は的中。

 燃えていたのは俺たち家族が住む3階建てのアパートで、家事の様子を眺めている人はいるものの、まだ消防車は到着していない。

 顔面蒼白で携帯を耳に押し当てた大家さんが、俺を見つけて駆け寄ってきた。
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