地雷カプブルー


 急に責められるような言い方をされ「確かに言ったけど」と、俺の眉が不愛想に吊り上がる。


「霞くんの頑とした考えを変えてくれたのは、奏多くんなんでしょ?」


 いや、まったく違うけど。


「中学の時の霞くんは、シングルの試合にしか出てなかった。でも高校になってダブルスを組むようになった。それって、独り占めしたい相手が僕から奏多くんに変わった証拠だよ」


 どうやったらそんな勘違いができるの?と聞けば、言い合いになってしまうだろう。

 冷静さをキープしたまま事実を伝えたくて、俺は声を落ち着かせる。


「この高校に入った後、監督に言われたんだ。テニス部に入るからにはダブルスの試合にも出てもらうって。スポーツ推薦で入学したし、NOと言える立場じゃなかったんだ」


 これでわかってくれると思いきや、輝星は納得がいっていない様子。


「放課後に調理室からテニスコートを眺めながら、ずっと思ってた。霞くんは奏多くんとペアを組んで本当に良かったって。だって僕とペアを組んでた時よりも、霞くんが攻撃して点をとれているんだもん。霞くんはヘタな僕に合わせて、後衛で動いてくれていたんだよね」

「違う!」

「違わない! テニスも友情も何もかも、僕は奏多くんには勝てないし、霞くんも僕より奏多くんを大事にしてる」


 何その決めつけは。


「僕はカスミソウカプを応援してるんだ。僕の推しカプなんだ。だから僕のことは気にせず、霞くんは奏多くんとの仲を深めてください!」

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