地雷カプブルー


 嬉しかったんだ。

 輝星が俺を好きだと言葉にしてくれたこと。

 俺の一方的な片思いだと思っていた。

 輝星と結ばれなくても、死ぬまで輝星を想い続けていればいい。

 意地を張りながらも、なんとか初恋を諦め生きてきた。


 でも両思いだとわかったとたん、再びあの悪夢がよみがえってしまったんだ。

 地獄のような時間が脳内で再生されて、恐怖で足が震えてしまうんだ。


 俺と輝星が付き合ったら、また輝星は自分を犠牲にしようとするだろう。

 自分の命なんてどうでもよくなって、俺を助けるために身を投げ出してしまうだろう。


 輝星が燃えるアパートに飛び込んでいったあの日。

 焼ける家具から俺を助けてくれたあの時。

 火事現場から脱出した直後に、輝星が意識を失ったあの瞬間。


 本当に怖かった。

 二度と輝星に会えなくなったらどうしよう。

 輝星の輝かしい人生を、俺が終わりにしてしまったのかもしれない……と。
< 120 / 130 >

この作品をシェア

pagetop