振り向いて欲しくて〜初恋は甘くてちょっとほろ苦い〜
そんなこんな考えていたら、もう校長先生のお話が終わって、もう少しで私の番になってしまった。



「次は新入生代表の挨拶です」



私はそれを聞いて立ち上がった。



落ち着け、落ち着くんだ。私。



スゥーっと息を吸って私は読み上げた。



私の挨拶が終わると、みんなが拍手をしてくれた。



大丈夫かな。カタコトになってなかったかな。



そんな不安を押し寄せて、私は取り払うように、ぶんぶんと首を横に振った。



ーーーーーー



教室に入って、自分の席に座る。



担任の松浦先生は、体育の教科担当でいかにも体育会系の見た目をしているけれど、意外にも優しそうな先生だった。



それにしても…



さっきから背後に何かすごく視線を浴びられている気がする。



なんだろう…?



そう気になって先生の話が一区切りしたところで私は後ろを見た。



っ…!!



思わず息を呑んだ。



だって私の後ろの席に座っている…その男の子はとても整った顔立ちをしていたから。



大きいけど少し切れ長で節目がちな目に、スラリと通った鼻筋。薄い唇に少し茶色っぽい色が入ったおそらく地毛の髪の毛。



少しつまらなそうに頬杖をつきながらも前を向いて先生の話を聞いている。
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