振り向いて欲しくて〜初恋は甘くてちょっとほろ苦い〜
緊張で固まっていたら先生から急かされて、私は前に立った。



大丈夫、大丈夫。みんなはジャガイモ、ジャガイモ……。



そう思って息を吸う



「えっと、す、鈴宮夢愛ですっ!す,好きなことは読書です…!と、得意なことは…特にありませんっ。よろしくお願いします…」



どんどん声が小さくなっていっているのは置いといて、ただでさえ男の子が苦手なのに、こんなに大勢の前で自己紹介をやり切った自分を褒めたい。



みんなからの拍手が終わらないうちに,私はぱっと席に戻った。



絶対挙動不審だとおもわれたーーー…



はぁ、入学式早々黒歴史作りまくりだよ…。



「じゃあ次,瀬川」



後ろに席の彼が立ち上がると女の子達は目をハートにして、色めきだっている。



私も前に立つ彼に夢中だった。



「……瀬川蓮。スポーツは得意なほうです。よろしくお願いします。」



シーン…と静まり返る。



みんな多分感動しているか、あまりのクールさに声が出ないか,どっちかだと思う。



私は前者。



あんなにイケメンでスポーツもできちゃうんだ…?



私とは程遠い、彼…瀬川蓮さんは、そのまま無言で席に戻った。



や、やっぱ怖い…。



「えっ…あ、あぁ。じゃ,じゃあ,次は高橋、よろしく」



先生も動揺してしまっているほど,瀬川くんには人を寄せ付けないオーラがあった。
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