Anonymous〜この世界にいない君へ〜
数分後、紫月は汗を拭っていた。胃の中のものを全部吐き出したことで少し体調は落ち着いたように思えたものの、幸成からは「顔色がまだ悪いよ。そんな状態で捜査は無理でしょ」と言われてしまった。

「太宰さん、すみません!コンビニが激混みで……ってどうしたんですか!?」

バタバタと大きな足音を立てながら水を買ってきた蓮は、ぐったりした紫月に驚いていた。幸成が事情を説明する。蓮は顔を真っ青にし、「すぐ帰りましょう!」と紫月の手を引く。

「他の人には僕から言っておきますから、さっさと帰って寝てください!」

「お、おい!夏目!」

蓮の力は強く、紫月は放り込まれるように車に乗せられ、気が付けば自宅であるマンションの部屋の中だった。蓮はエプロンをつけ、キッチンに立つ。

「事件のことで何か進展があれば連絡しますから、今はゆっくり休んでください」

「それはいいが、お前は何でエプロンをつけているんだ?」
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