Anonymous〜この世界にいない君へ〜
翡翠はレース素材のブラウスの上に薄い緑のジャンパースカートを着て、小さな麦わら帽子を被っている。その顔は少し緊張しているようだった。
「あっ、えっと、太宰です。初めまして」
「泉翡翠です。えっと、初めまして」
翡翠は少し俯きがちに言った。弱気な雰囲気や声のトーンはアノニマスとは全く違う。
(本当にもうアノニマスはいないんだな……)
アノニマスが望んだこととはいえ、悲しみが胸の奥に生まれてしまう。しかし、会いに来てくれた翡翠に失礼な態度を取るわけにはいかない。
「せっかくですし、カフェにでも入りませんか?おいしいケーキのお店があるんです」
「ケーキ!行きたいです!」
ケーキという単語に翡翠は目を輝かせる。アノニマスならば、「うげッ」と言いたげに顔を顰めていただろう。翡翠が甘党なことを嬉しく思いながら、紫月は人気のあるカフェへと翡翠と共に向かった。
平日のためか、人気のカフェだというのに人の姿は少ない。テーブル席にすぐに案内され、向かい合って座る。少しの沈黙の後、翡翠が「メニュー見ましょう」と言った。
「あっ、えっと、太宰です。初めまして」
「泉翡翠です。えっと、初めまして」
翡翠は少し俯きがちに言った。弱気な雰囲気や声のトーンはアノニマスとは全く違う。
(本当にもうアノニマスはいないんだな……)
アノニマスが望んだこととはいえ、悲しみが胸の奥に生まれてしまう。しかし、会いに来てくれた翡翠に失礼な態度を取るわけにはいかない。
「せっかくですし、カフェにでも入りませんか?おいしいケーキのお店があるんです」
「ケーキ!行きたいです!」
ケーキという単語に翡翠は目を輝かせる。アノニマスならば、「うげッ」と言いたげに顔を顰めていただろう。翡翠が甘党なことを嬉しく思いながら、紫月は人気のあるカフェへと翡翠と共に向かった。
平日のためか、人気のカフェだというのに人の姿は少ない。テーブル席にすぐに案内され、向かい合って座る。少しの沈黙の後、翡翠が「メニュー見ましょう」と言った。