百日後に離婚予定のはずが、溺愛モードに入りました!
「今までお見かけした覚えがない。あまり夜会にはいらっしゃらないので?」
「こういう場は得意ではなくて」
「私と同じだ」
 彼はにっこりと笑う。その笑顔が屈託なくて、私はきゅんとしてしまった。

「マリアン嬢、またお会いできますか?」
 私は驚いて彼を見た。緑の目がまっすぐに私を見ていて、私は動揺してしまう。

「夜のように優しい黒髪に、やわらかなグレーの瞳がとても美しい。あなたほどのご令嬢をほうっておくとは、世の男どもは見る目がない」
 耳慣れない言葉に、顔がカーっと熱くなる。こんなことを言うからご令嬢方がこの人に夢中になるんじゃなかろうか。

「き、機会がありましたら……」
 やっとのことでそう答えると、彼は私の前に跪き、私に手を差し出す。
 思わず私も手を差し出すと、彼は私の手をとってその甲に口づけた。

「必ずですよ」
 緑の目の輝きに動揺して、動悸は早くなる一方だった。



 彼から結婚の申し込みがあったのはそれから三日後だった。
 彼はあの夜会でお父様とも出会い、意気投合したとのことだった。人にすぐ好かれるのは彼の特性だろうか。
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