百日後に離婚予定のはずが、溺愛モードに入りました!
 彼を気に入ったお父様は、あの夜会で私たちが出会って恋に落ちたと思っているようだった。どんどん縁談を進めて行き、私が口を挟む余地はなかった。

 そうしてとんとん拍子に話が進み、驚くべきことに一ヶ月で結婚に至った。
 心の準備をする間もなく私は彼の家へと嫁いだ。
 そうして結婚式のあと、百日後に離婚すると匂わされたのだった。



 一緒に暮らす彼は私に優しかった。
 私室として用意された部屋は豪華な家具で満たされ、寝室は彼とは別。

 毎日、足りないものはないか、行きたいところはないか、と聞いてくる。
 なにもいらないし、行きたいところはない、と私は答えた。

 百日後には離婚が確定しているのだから思い出を作る必要はないし、プレゼントもいらない。
 なのに彼は、私のことを謙虚で慎み深いと言って感激する。

 最終的に彼は勝手に仕立て屋を呼び、私のドレスを何着も仕立ててくれた。
 どうしてこんなに良くしてくれるのだろう、と私は戸惑うばかりだった。

 ある夜、彼のつきあいで一緒に夜会に出かけたあと、ようやく本心を知った。
「夜会でも君がいるおかげでご令嬢に囲まれずにすむ。なんとありがたいことか」
 女よけが欲しかったのか、と納得するとともに、激しく落胆した。

 それで悟った。
 私は彼に恋をしている。

 いつどうして恋をしたのかわからない。
 だけど、なんという絶望的な恋。
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