海よりも深くて波よりも透明
カイまでなんか夏葉のこと敵対視してない!?



ずっと笑顔だけどなんか雰囲気違うし…。



やだあ…。



微妙な空気を引きずったままランチを終えてまた海に戻った。



夏葉は自分のホテルに一度戻るらしい。



それから夕方まで練習を続けて、日が沈んできたので上がる。



カイと一緒にホテルまで戻ると、ロビーで夏葉がスマホを見ながらソファで待ってた。



カイを置いて夏葉に駆け寄る。



一緒にご飯食べに行く約束してたんだ!



「夏葉~」

「来たか」



夏葉があたしを優しい顔で見てから、あたしの後ろのカイに気づいて眉間に皺を寄せた。



「あいつなんでいんの?」

「あっ!!」



やば!



カイと同じホテルって言うの忘れてた!!



カイとは全然そういう間じゃないとはいえ言った方がよかったよね!!



「プラン変更。部屋戻るぞ」



夏葉がそう言ってあたしを強制的にホテルの部屋に連れて行く。



うう~…。



部屋に連れられたあたしは、ベッドの上にちょこんと座る。



夏葉がそんなあたしの前に立って腕を組んでる。



「で?」

「はい…」

「あいつと同じホテルなわけ?」

「はい…」



あたしが言うと、夏葉が「はあ~…」とため息をついた。



それからあたしの両肩に手をやって軽く引き寄せる。



「そういうの言って。俺が知らない間に穂風が男と2人とかまじ無理だから」

「うん、ごめんね…。あたしも逆の立場だったら超…やだ…」



そう言って、夏葉のお腹に顔をつけた。



夏葉がもう一度「はあ…」と言いながら、あたしの肩に顔を埋めた。



「今までまじで嫉妬とかしたことなかったのにな。ガキくせえ…。でも無理なもんは無理だし」

「うん…」



夏葉が急に甘えたようにするから、きゅーっと胸の奥が苦しくなる。



こんなに人のことって好きになれるんだ…。



夏葉に色んなことを教えてもらってる…。



夏葉をぎゅっと抱きしめながら後ろ頭を軽く撫でる。



甘えるのも大好きだけど、こうやって甘えられるのも物凄く愛おしい…。



それから夏葉と部屋でルームサービスを取って食べて、一緒の布団で眠った。



あさっての大会、十分にエネルギーもらった!



頑張るぞ~!
< 135 / 328 >

この作品をシェア

pagetop