海よりも深くて波よりも透明
「お前ならできる、とか、そんな軽はずみなことは言わねえぞ、俺は」

「…」

「でも、数ヶ月間お前のこと撮ってきて、お前が確実に成長してるのは分かってるから。お前は努力ができる人間」

「夏葉くん…」



努力できる人間って強いし。



実際悠星はそれで今年世界大会行けたわけだし。



「12月のアジア大会も出んだろ? まずはそこ目指してって感じだな」

「うん。頑張るわ…」

「俺も写真頑張んなきゃな~…。それこそ俺もフォトグラファーとして世界で認められるようになりてえし…」

「一緒に頑張ろ。俺も綺麗な波乗りできるようになるから」

「だな」



なんてちょっと熱い会話をしたり…。



にしても狭いわ!!!



「悠星、お前降りろ」

「やだ。将来有望なサーファーは身体のコンディションが大事なんです」

「だから帰れっつっただろ!」

「いいじゃん、夏葉くんと決意表明できたんだし」

「お前な~…」



結局意地でも布団から降りない悠星に俺が負け、床で寝る羽目になった。



絶対許さね~…。



次の日は全身身体を痛めて目が覚め、会った穂風に事情を話し、怒った穂風が悠星にキックの反撃をしてた。



「いてえ…」

「あたしの夏葉いじめた上に同じベッドで寝てたとか信じらんない! 悠星くんのバーカ!」



穂風ちゃ~ん…。



俺のことどんだけ好きなんだよ~…。



最高だな。



でも、その日の悠星は俄然やる気を出してるように見えて。



俺もとにかく頑張ろうと思った。
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