海よりも深くて波よりも透明
~穂風~

希望していた大学の指定校推薦に合格して、来年からの大学が正式に決まった。



楽しみだな、大学生生活。



そして、日曜日だった昨日、ついに免許も取得したあたし。



順調順調~。



とりあえず今日の朝、学校に行く前に原付で海に来てみた。



「おはよー!」



夏葉とちょうど駐輪場で会う。



夏葉も原付だ。



「おー、穂風。早速原付で来たな」

「うん、嬉しくて」

「車の運転も楽しみだな?」

「まだ緊張するけどね~」



そんな話しながら板(※サーフボード)を持って海へ。



今日は波のコンディションが良くてめちゃくちゃ気持ち良い。



夢中で波に乗ってたら、いつの間にか学校に行かないといけない時間。



「夏葉、あたしもう行くね!」

「ん。あっ、ちょっと待て」

「何?」

「今日俺ん家来るなら俺遅くなるから先帰ってろ」



そう言って夏葉があたしに家の鍵を渡した。



「なんで?」

「別に、仕事」

「浮気か」

「ちげえよ! なんでそうなる」



冗談だもーん。



夏葉の鍵を大事にしまった。



「じゃあね! またあとで~」

「はいよ」



そして学校が終わって夏葉の家に直行。



制服を脱いで勝手に夏葉の部屋着を着てから、適当にだらだらして過ごす。



早く夏葉帰ってこないかな~。



遅くなるって言ってたけどどのくらいだろ?



と思ってたのに、ピンポンとインターホンが鳴って、誰だろうとドアののぞき穴から確認したら夏葉だった。



早くない!?
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