海よりも深くて波よりも透明
それからその日の授業を一通り済ませて海へ。



海には悠星くんがいた。



「またお店早く閉めたのー?」

「だって客来ねえし…」



まったく…。



あたしの呆れをよそに、悠星くんがあたしの足元に目を向けた。



なに…?



「なんか膝んとこついてるけど」

「えっ? …うわっ」



見ると、膝の少し下のあたりに赤い痣…。



絶対昨日の!



なんか膝あたり嚙まれたと思ってたけどキスマークだったのか…。



夏葉がキスマークとか、しかも見える位置になんて珍しいけどやっぱ相当眠かったからかな…。



「幸せそうだな」

「…」



恥ずかし…。



「そういう悠星くんは愛姫とどうなの?」

「べつに。あんま会えねえし。次の合宿で久しぶりに会うみたいな感じ」



そっか、国際の遠距離恋愛は大変だよね…。



あたしだって1週間夏葉と別の国で離れただけでも寂しかったのに…。



にしても合宿か…。



毎年恒例のMAKANA主催の世界選手権に向けた強化合宿。



世界選手権が近い。



心が少しざわついた。



ううん、大丈夫。



あたしはあたしなりの、結果にとらわれない楽しい波乗りをするの。



ざわつく心に、夏葉がぼんやりと浮かんで、すうっと気持ちがほどけていくような気がした。
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