薬師見習いの恋
「アシュトンもなんか言えよ!」
「そいつらの味方するのか!」
 ルタンとサミエルの声に、アシュトンは目をそらす。

「見損なったぞ!」
「所詮は貴族様だな!」
「違うわ、アシュトンはきちんと村のことを考えてくれてるのよ」
 マリーベルは必死に反論する。

「そもそも病気を持ってきたのはその王女が連れて来た医者だぞ! あの森が欲しくて村を滅ぼそうとしたんじゃないのか!」
 ルタンが叫ぶと、
「薬草を独り占めする気だ!」
 サミエルも叫ぶ。

 そうだそうだ、とさらに抗議の声が飛び、マリーベルは唖然とした。
 彼女が来た時点ではあの森に月露草があることはわからなかった。なのにそんな陰謀があったかのように言われるなんて。

「エルバ様があの森に薬草があることを知るわけないじゃない!」
「そいつは森を通って来たんだろう。そのときに見て知っていたんだ!」
 なんという決めつけだろうか。

「違うわ、この方は独り占めなんてしない!」
「裏切り者!」
「恥を知れ!」
 続く罵声にマリーベルはよろめき、それをロニーが支えた。
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