The previous night of the world revolution
「そんなことの為に…そんなことをする為に、王家に忠誠を誓ったんじゃない。それはルール違反だ。契約違反だ。王族が臣下の権威を守らないのなら、臣下が王族に尽くす理由なんて何処にもない。そこまでの忠誠を、俺は誓った覚えはない」
それだけの見返りがあるから、誰だって忠誠を誓うのだ。
忠義を尽くせば恩を返してくれる。その契約があるから、人々は王族に従う。
それをせずに臣下の命を駒としてのみ扱い、王族がその特権を振りかざすだけなら…誰も従いなどしない。
俺が忠誠を誓うのは、その見返りに女王が俺の社会的立場を保証してくれるからだ。
保証してくれないのなら、俺が彼女に身を捧げる義務などない。
「…貴殿の言い分は理解している」
「…」
「だが…これはルティス帝国の女王の勅命であり、そして貴殿はルティス帝国民だ」
「…だから?」
「気の毒だが、これはもう決定事項だ。貴殿は未だ帝国騎士団の人間であり、命令に従う義務がある」
…こいつは。
人を、馬鹿にするにも程がある。
「本来なら、女王暗殺未遂など、極刑に値する。しかし…貴殿は貴族の身だ。命までは取られない」
ルティス帝国の貴族には、庶民にはない特権がいくつかある。
そのうちの一つが、刑罰の免除にある。
簡単に言えば、罪を犯したとしても、貴族ならその罪を、なかったことに出来るのだ。
ただし、一度だけ。
一度使えば、その人間はもう貴族ではなくなる。家の名前を名乗ることは許されず、富も名誉も権力も、全部なくして一般庶民の身分に落ちる。
それに、厳密に言えば罪をなかったことに出来るのではなく、その罪に対する罰を受けなくても済むだけで、つまり前科は残る。
庶民にしてみれば、一度だけとはいえ罪を犯しても罰を受けなくて済むから狡いと思われるかもしれないが。
むしろ、普通に罰を受けるより辛い処置だ。生まれたときから貴族としての権益を当たり前に持っていた人間が、ある日いきなり、身一つで叩き出されるのだから。
その先、どうやって生きていけば良いのか。
俺には分からなかった。生まれたときから帝国騎士団に入る為だけに生きてきたのに、それをなくして、どうやって生きていけるのか。
「既に根回しは済んでいる。貴殿にとっては理不尽なことだろうが…理解して欲しい。これは…貴殿の帝国騎士団四番隊隊長としての、最後の務めだ」
「…」
「勿論、このことは他言無用だ。真実を知っているのは俺と、女王陛下と、それから貴殿のみ。…ルシェになど絶対に話せない」
「…」
俺は黙っていた。何を言っても、もう決定を覆すことは出来ないと分かっていたからだ。
この男がそこまで準備を済ませているのなら、もう駄目だ。
「…短い間だったが、貴殿の働きに感謝する。俺が言えたことではないが…どうか幸せに生きてくれ」
それだけの見返りがあるから、誰だって忠誠を誓うのだ。
忠義を尽くせば恩を返してくれる。その契約があるから、人々は王族に従う。
それをせずに臣下の命を駒としてのみ扱い、王族がその特権を振りかざすだけなら…誰も従いなどしない。
俺が忠誠を誓うのは、その見返りに女王が俺の社会的立場を保証してくれるからだ。
保証してくれないのなら、俺が彼女に身を捧げる義務などない。
「…貴殿の言い分は理解している」
「…」
「だが…これはルティス帝国の女王の勅命であり、そして貴殿はルティス帝国民だ」
「…だから?」
「気の毒だが、これはもう決定事項だ。貴殿は未だ帝国騎士団の人間であり、命令に従う義務がある」
…こいつは。
人を、馬鹿にするにも程がある。
「本来なら、女王暗殺未遂など、極刑に値する。しかし…貴殿は貴族の身だ。命までは取られない」
ルティス帝国の貴族には、庶民にはない特権がいくつかある。
そのうちの一つが、刑罰の免除にある。
簡単に言えば、罪を犯したとしても、貴族ならその罪を、なかったことに出来るのだ。
ただし、一度だけ。
一度使えば、その人間はもう貴族ではなくなる。家の名前を名乗ることは許されず、富も名誉も権力も、全部なくして一般庶民の身分に落ちる。
それに、厳密に言えば罪をなかったことに出来るのではなく、その罪に対する罰を受けなくても済むだけで、つまり前科は残る。
庶民にしてみれば、一度だけとはいえ罪を犯しても罰を受けなくて済むから狡いと思われるかもしれないが。
むしろ、普通に罰を受けるより辛い処置だ。生まれたときから貴族としての権益を当たり前に持っていた人間が、ある日いきなり、身一つで叩き出されるのだから。
その先、どうやって生きていけば良いのか。
俺には分からなかった。生まれたときから帝国騎士団に入る為だけに生きてきたのに、それをなくして、どうやって生きていけるのか。
「既に根回しは済んでいる。貴殿にとっては理不尽なことだろうが…理解して欲しい。これは…貴殿の帝国騎士団四番隊隊長としての、最後の務めだ」
「…」
「勿論、このことは他言無用だ。真実を知っているのは俺と、女王陛下と、それから貴殿のみ。…ルシェになど絶対に話せない」
「…」
俺は黙っていた。何を言っても、もう決定を覆すことは出来ないと分かっていたからだ。
この男がそこまで準備を済ませているのなら、もう駄目だ。
「…短い間だったが、貴殿の働きに感謝する。俺が言えたことではないが…どうか幸せに生きてくれ」