The previous night of the world revolution
馬鹿げているとしか言いようがない。

常識的に考えて、そんなのはおかしい。この男は、俺に冤罪を吹っ掛けようとしているのだ。

クリュセイス家の為。王家の為。ローゼリア女王の為に。

それだけの為に。

俺の…人生を、棒に振ろうとしている。

「…そもそも、何で今なんですか。女王が即位して、もう8年にもなるのに、何でゼフィランシアは、今更女王を…」

「彼としては、簒奪者であるローゼリア女王の治世は長くは続かないと思っていたらしい。更に…前回女王と面会したとき、ゼフィランシアがそれとなく尋ねたところ、女王にはっきりと、王位継承権をゼフィランシアに渡す気はないと言われたそうだ」

「…」

「兄としては敬意を表するが、王位に就かせることはないと。女王にはっきり言われてしまったことに逆上し、今回の犯行に及んだのだろう」

…そんな、身勝手な理由で。

ただの兄妹争いじゃないか。何でそれに、部外者の俺が巻き込まれなきゃならない。

「…俺は、帝国騎士団に入る為に…生まれてからずっと、血を吐くような思いをして生きてきたんですけどね」

「…あぁ。知ってる」

「他に選択肢もなく。ただただ、王家の為に命を捧げるようにと…。…そう、言われ続けてきたんですけどね」

今の地位を手に入れる為に、俺が今まで、どれほどの努力を重ねてきたか。

それは本当に、血を吐くような経験であった。

その末に、ようやく…ようやく、これだけの地位に上り詰めた。

それなのに。

「その女王の一存で、俺は地に堕とされる訳ですか」

「そうだ。女王陛下と、国の安寧の為…貴殿はその身を犠牲にしてもらう」

…なんとも。

…素晴らしい結末じゃないか。

生まれたときから国の為に、ベルガモット王家の為に生きることを強制され。

血を吐くような努力をして、ようやく認められたのに。

今度はその王家の為に、殺されるより不名誉な汚名を着せられて。

今まで築き上げてきた全てを、全部踏みにじられるなんて。

この上ない、王家の献身じゃないか。

俺は自分が守ろうとしたものに、殺される訳か。

まさか背中から撃たれるとは。じゃあ、あのとき女王を庇いなんてしなければ良かった。

…馬鹿言え。庇わなかったら庇わなかったで、臆病者と罵られて、似たような境遇に落とされていた。

本当に、本当に素晴らしい。これが、自分の命を削ってまで主君を守ろうとした忠臣の結末だ。最後の最後まで主君を守ることが出来て、この上ない名誉だろう?





「…ふざけるな」

そんなことが、許されてなるものか。





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