うみに溺れる。


《やっぱりこういうのって遺伝するんだね〜》

《怖すぎ。関わりたくないわ。》

《私だったら同じ血が流れてるってだけで死ぬ》


ドクン、ドクン。


海は僕といるより、空人と一緒にいた方がいい。
そんなの、とっくに分かってた事なのに。



『ムカつくよね』

『え』

『海は僕と付き合ってるのに、その奥底では僕じゃない奴を想っててムカつくよ。ましてやそいつと両思いだなんて』



分かってたはずなのに、手を伸ばしてしまった。

風に乗って香る優しい匂いも、ふわりと舞う髪の毛も、笑った時に細くなる目も全て自分のものにしたくなった。


誰のものでもないそれに手を伸ばしてしまったのだ。



『空人には悪いけど、結構前から僕は空人の事が嫌いだよ』

『なん、』



大きく見開かれた目が揺れたのが分かった。

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