うみに溺れる。


「朱莉?どうしたの、考え事?」

「えっ?あ、いや」

「移動だって」


すぐそこに居たはずの柳楽はいつの間にか前の方に居て、隣には心配そうに海が私を見ていた。

違うクラスでも、海は恋人となった柊木くんと一緒に行ける修学旅行を楽しみにしていた去年の事を思い出した。


「楽しみだね、美味しいのいっぱい食べたいなぁ!」


柊木くんが亡くなって登校し始めた海は、言動や行動全てが柳楽に依存しているようで見てられなかった。

1人になる事を怖がって、“居ない”という事に敏感になる。
食欲もないのか顔色は悪く痩せていた。

保健室登校から普通に登校になった時、クラスメイトの皆もその変わりように言葉を失くしていたし。
励ます言葉もありきたりな言葉しか思い浮かばず、逆に思い出させそうで怖くて何も言えなかったのだ。

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