うみに溺れる。
***


「……き、だか、」

「え?」

「っ、好きなんだよ!!」

「……ぇ、」


涙目の空人を見たのは何回目か。
その言葉に時が止まったように感じた。


「昔から、好きだったんだよお前の事」

「たか、」

「…雫玖にもそれ気付かれてた、」

「たかと、」


振り払われると思って伸ばした手は払われる事なく、私の手は空人の腕に触れた。


「雫玖に、最後に会った日に言われたんだ、」


そこからの話は私の想像していた事よりも斜め上で。
知らない所で2人の間でそんな事があっていたのかと思うと胸が酷く締め付けられるような感覚に襲われた。


空人にだけ宛てられた手紙の内容も、空人が今まで抱えていた罪悪感も、私は何も知らずに自分だけが世界で1番辛いんだと思い込んでいて。

いいや、空人だって幼なじみを失っていたんだ。
そんな当たり前の事を私は気付かなかった。


< 87 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop