Rescue Me
「まあさ、そんな先のことばかりに気を取られて目の前にある大切なものを見失うなよ。夫婦二人だけの人生だってきっと幸せだと思うよ」
薫はそう言うと「やっぱりこれ食う?」と私に先程のチョコレートドーナッツを差し出した。じっとそのドーナッツを見た後、「……やっぱりいい……」と首を横に振った。
その夜、颯人さんはバーベキューをしてくれて、外のリビングスペースに座りながら皆で楽しく食事をした。
外のテレビにビデオカメラを接続して、颯人さんと翠が一緒に波に乗っている動画を見たり、薫が再びバイオリンを演奏してくれてとても楽しいひと時を過ごす。
颯人さんはとても楽しそうにしていて、莉華子さんと一緒に仕事の話をしたり海斗さんの話をしている。そんな彼をじっと見つめていると、私の視線に気付いたんだろう。微笑んで手を伸ばした。
「蒼、ここにおいで」
彼の隣に座ると、颯人さんは私の椅子の背もたれに腕を伸ばし、そして私を抱き寄せた。
彼は私が隣に座る時、レストランに行ってもどこに行っても必ずこうして私の背もたれに腕を伸ばす。
最近彼が身につけた癖で、私を守る様に、もしくは彼のものだと主張する様にこうして私の背もたれに腕を伸ばす。
私は彼を見上げて微笑んだ。すると颯人さんも嬉しそうに私を見下ろした。
確かに薫の言うように、私達はこのままでも幸せなのかもしれない……と思う。
◇◇◇◇◇◇
次の日、薫はニューヨークへと帰って行き、その後私達は数日家族であちこち旅行に出かけた。
皆で一緒にナパバレーに行って色々なワイナリーに寄ってワインテイスティングをしてまわったり、カリフォルニア州の首都であるサクラメントまで遊びに行って、州会議事堂を見たり、州立鉄道博物館やオールドサクラメントを見て歴史を学んだりと楽しい時間を過ごす。
そして今夜サンフランシスコで最後の夜。せっかくなのでダウンタウンにある有名な高級レストランに来ることにした。
ここはステーキとシーフードが有名でお寿司もメニューにある。莉華子さんはお店に入ると豪華で美しい内装にとても喜んだ。
「とてもゴージャスな雰囲気の所で素敵!大きなシャンデリアや壁にある斬新なデザインもいいわ」
私達は美しい内装のレストランの中を通り抜け、最上階のルーフトップの席に案内してもらった。全面大きなガラス張りの窓からは外の夜景が綺麗に見える。
私達は席に座るとメニューを見ながら早速来年の休暇の予定を話し始めた。
薫はそう言うと「やっぱりこれ食う?」と私に先程のチョコレートドーナッツを差し出した。じっとそのドーナッツを見た後、「……やっぱりいい……」と首を横に振った。
その夜、颯人さんはバーベキューをしてくれて、外のリビングスペースに座りながら皆で楽しく食事をした。
外のテレビにビデオカメラを接続して、颯人さんと翠が一緒に波に乗っている動画を見たり、薫が再びバイオリンを演奏してくれてとても楽しいひと時を過ごす。
颯人さんはとても楽しそうにしていて、莉華子さんと一緒に仕事の話をしたり海斗さんの話をしている。そんな彼をじっと見つめていると、私の視線に気付いたんだろう。微笑んで手を伸ばした。
「蒼、ここにおいで」
彼の隣に座ると、颯人さんは私の椅子の背もたれに腕を伸ばし、そして私を抱き寄せた。
彼は私が隣に座る時、レストランに行ってもどこに行っても必ずこうして私の背もたれに腕を伸ばす。
最近彼が身につけた癖で、私を守る様に、もしくは彼のものだと主張する様にこうして私の背もたれに腕を伸ばす。
私は彼を見上げて微笑んだ。すると颯人さんも嬉しそうに私を見下ろした。
確かに薫の言うように、私達はこのままでも幸せなのかもしれない……と思う。
◇◇◇◇◇◇
次の日、薫はニューヨークへと帰って行き、その後私達は数日家族であちこち旅行に出かけた。
皆で一緒にナパバレーに行って色々なワイナリーに寄ってワインテイスティングをしてまわったり、カリフォルニア州の首都であるサクラメントまで遊びに行って、州会議事堂を見たり、州立鉄道博物館やオールドサクラメントを見て歴史を学んだりと楽しい時間を過ごす。
そして今夜サンフランシスコで最後の夜。せっかくなのでダウンタウンにある有名な高級レストランに来ることにした。
ここはステーキとシーフードが有名でお寿司もメニューにある。莉華子さんはお店に入ると豪華で美しい内装にとても喜んだ。
「とてもゴージャスな雰囲気の所で素敵!大きなシャンデリアや壁にある斬新なデザインもいいわ」
私達は美しい内装のレストランの中を通り抜け、最上階のルーフトップの席に案内してもらった。全面大きなガラス張りの窓からは外の夜景が綺麗に見える。
私達は席に座るとメニューを見ながら早速来年の休暇の予定を話し始めた。