女嫌いな年下のおとこのこ
「ひとまず飯だ。開けんぞ」
「うん!楽しみ」
コルクを抜き、ワイングラスに注ぐ姿があまりに様になっていたので一流のソムリエのように見えた。
もう完全に贔屓目で見てしまってるなと内心呆れながらグラスを持ちあげた。
「じゃあ瑞希くんの怪我の快気を祝って、乾杯」
グラスの重なるいい音が鳴り響き、ボルドーの赤ワインに口をつければ品の良い葡萄の濃厚な味が広がり思わずうっとりとする。
「美味いな」
どうやら瑞希の口にも合ったようで、彼にしては珍しく早いペースで2杯目を注いでいた。
「でしょ?瑞希くん絶対好きな味だと思ったの」
「聖にしてはマシなもん選んだじゃねえか」
「どういう意味かな?」
「過去の自分を振り返ってみろ」
そういえば中学の修学旅行の土産を渡した際に「なんだコレ要らね」と言い自身の母親に鉄拳を喰らっていた瑞希を思い出す。
可愛いと思ったんだけどな、あのキャラクター。名前は知らないけれど。