女嫌いな年下のおとこのこ
「どうでもいい奴の世話なんか焼くかよ。しかも女なんだぞ、分かるだろ」
「…そっかあ」
良かったと、考えるよりも先に言葉が漏れていてそのまま瑞希の胸に頬を擦り寄せた。
既に入浴済みなのだろう、石鹸の良い香りが鼻をくすぐる。
そこに加わった初めて感じる瑞希の匂いに満たされ幸せな気持ちに包まれていると、背中にあった手が肩に移動してゆっくりと離された。
しばし目が合い、そしてゆっくりと瑞希の顔が近付いてきた。
「!?ちょっと待って!」
咄嗟に両手で瑞希の口を塞いでそれを堰き止めた。
途端に瑞希の眉が一気に上がり、噛みつかんばかりに吠えられた。
「はあ!?テメ空気読めや!今確実にそう言う流れだったろ!」
「いやいやだって!」
「土壇場でひよってんじゃねえ!今更ナシなんて受け付けねえぞ!」
「そうじゃなくて!瑞希くん、私、女だよ?」
「はあ?」
何を当たり前の事をと、不機嫌そうに言う瑞希の口元に当てていた手を離した。