女嫌いな年下のおとこのこ
手を差し出されてそれを取れば、乱暴な言葉遣いとは裏腹に優しく抱き締められた。
「瑞希くん、いい匂いがする」
「…そうかよ」
「うん。…瑞希くん、好きだよ」
「…ん」
少し強張った体に彼が照れているのが分かった。
可愛いなあなんて思ってしまうと幸せな気持ちが溢れ、何度も同じ言葉を繰り返した。
何度目かの好きを伝えた頃、突然体を離されたかと思えばそのまま肩を抱かれ、リビングの奥にあったもう一つの部屋に引き入れられた。
そこはどうやら寝室らしく、身長の高い瑞希に合わせて購入したであろうダブルベッドが置かれていた。
或いは過去に恋人を泊めた時の為に買ったやつかな、なんて野暮な事を考えながら瑞希と共にそこに進み、そのままベッドサイドに腰を下ろされた。
「ここで寝てもいいの?」
「他に何処があんだよ」
「それもそっか」
リビングにあったソファーはただの2人掛けのものだったし、この物言いからすると客用の布団も無いのだろう。