女嫌いな年下のおとこのこ
自身から香る瑞希の同じ石鹸の香りと、タオルや着替えから漂う彼と同じ柔軟剤の香りに癒されながら数十分ほどかけて洗面所から出れば、リビングに居た瑞希が「遅え」と文句を垂らした。
「瑞希くん、服貸してくれてありがとう。ただこの格好じゃちょっと帰れそうもないんだけど…」
瑞希の服は明らかにオーバーサイズで、上はともかく下は引きずるどころの騒ぎではなく何回も折ってようやく脚の長さに合わせた程だ。
それに風呂上がりに汗を吸った下着を身につけるのも嫌で今は何も着けていない。
タクシーを捕まえたとてこの格好では外は歩けない上に今は真冬だ、普通に凍え死ぬ。
手が出ていない袖をプラプラとさせながら言えば、またもや眉間の間に深い皺が寄る。
「帰すわけねえだろ、泊まっていけ」
「え、いいの?」
正直もう時刻は真夜中に近いし面倒になってきたのでその申し出はありがたい。
ぱっと顔を輝かせた聖に、瑞希は少しだけ表情を穏やかに変えた。
「何回も言わすな、早よこっち来い」
「うん」