【電子書籍化決定】改題/犬猿の仲の狼王子から、なぜか求愛されています!?(旧題/関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている)
 揺れた馬車を、騎馬で同行している騎士たちが心配そうに見たに違いない。心配されまくっているのは、カディオも察している。

(素直になれ、素直にいくんだ、俺)

 昔から何度だって後悔してきた。

 周りはみんな味方だ。皆が望んでいるのだし、と、彼女がそばにいてくれるからと甘んじていた。

 そうして、シェスティが急にいなくなった日には、絶望した。

 もう、顔さえ見れないのだと分かったら、涙がぼろぼろとこぼれた。

 二十一歳の男が急に泣いて、母である王妃も驚いていた。

 悔しかった。こんなにも、彼女のことが――。
 気になっているどころではない。その次の段階でも、もうなくなってしまった。

 それを悟った瞬間だった。

(アローグレイ侯爵たちからはよくしてくれると、約束してもらったが……)

 あの三人の子息たちが彼女に気がないなんて、思えない。

 彼らから届いていた報告の手紙は途絶えたし、以降はアローグレイ侯爵のみ『預かっているシェスティの様子』を伝えてきた。
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