【電子書籍化決定】改題/犬猿の仲の狼王子から、なぜか求愛されています!?(旧題/関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている)
 どうしてあんな手紙を送ってきたのか問いたくなるが、今はこらえよう。

(ひとまず案内しましょ)

 執事は父に同行してしまっていないので、シェスティが指示すると、事前に打ち合わせていた使用人たちが動いてくれる。

 護衛騎士たちの数は、今回もさすがの人数だ。
 ほとんどが獣人族で構成されているので、警備としては最強だろう。

「カディオはこちらに――」
「シェスティっ」

 背を向けた途端、後ろから手を掴まれて驚いた。

「な、何――」

 振り返った途端、シェスティはブルーの目を見開く。

 彼女の視界いっぱいに飛び込んできたのは、赤い薔薇と数組の花で彩られた花束だった。

(近い)

 出し方を間違えている。

(というか、どうしてカディオが花なんかを?)

 家族同士の付き合いで必要が会った時にだけ、両親に言われて渋々差し出していたイメージしかない。
 それも、かなり前の話だが。

「これ、……やる」

 カディオが気付いたみたいに花束を下げて、咳払いし、今度は適切な距離感で差し出してくる。
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