【電子書籍化決定】改題/犬猿の仲の狼王子から、なぜか求愛されています!?(旧題/関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている)
「あっ、すまない、大きな声を出した」
「ううん平気よっ」
「そういうわけで……また、贈るから」

 また、という言葉に、どうしてかシェスティは、普段彼にどんな言葉を返していたのか思い出せなくなる。

 二人の間に気恥ずかしい沈黙が落ちた。

「お嬢様?」

 こそっと、メイドが後ろから声をかけてくれる。

「あっ、えっと、こっちよ」

 シェスティは花束をメイドに預けると、カディオをサロン側へと案内した。


 そこは開けた場所だ。護衛もじゅうぶん入れるし、何より大きな窓から見える公爵邸の庭園は客人から評判がいい。

(彼は以前もよく来ていたから、目新しく感じないかもだけど)

 先日シェスティの帰りを待っていたくらいだから、そのあと国王の右腕としてディオラ公爵家と交流が続いていた可能性もある。

 もしかしたらシェスティと引き合わせたのは、彼の後ろ盾のためかもとは留学先で思った。

 シェスティと接点を持ったことにより、彼女が信頼を得ている先とも繋がりができる。
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