【電子書籍化決定】改題/犬猿の仲の狼王子から、なぜか求愛されています!?(旧題/関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている)
 そこにふふっと笑い返したシェスティは、いつの間にか過ぎている時間を見て、驚く。

(あ、私――彼と普通に話せているわ)

 気付けば一時間の歓談となっていた。

 時間が過ぎるのを忘れていたのも、カディオの笑い声を聞いたのも初めてではないだろうか。

 そしてこの時間を、心地よいと感じている自分がいる。

(言わないといけないわよね。もう、終わりだって)

 カディオにも予定があるだろう。

 けれど、どうにも口が開かない。
 楽しそうな彼の邪魔をしたくない。そう思った時だった。

 ティーカップを持ち上げたカディオが、棚の上に置かれた時計にふっと目を留めた。

「あ」

 彼も気付いてしまったようだ。

「すない、長居をしてしまった」
「う、ううんっ、いいのよ別に。他に私は予定もなかったから」

 謝られたことに驚いて、慌てて問題はないと伝える。

 三年前までもそうだった。
 両親が彼を招いた時の二人の茶会も、きっかり一時間だ。当時彼はすでに成人していたので、そう時間が取れない立場なのはシェスティも分かっていた。
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