【電子書籍化決定】改題/犬猿の仲の狼王子から、なぜか求愛されています!?(旧題/関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている)
 眉間の皺がないせいか、普段の彼と雰囲気が違っていて、シェスティは心臓がばっくんとはねる。

(まるで、会えるのを楽しみにしているみたい――)

 これまで彼に『会おう』なんて別れの挨拶をされたのは、記憶にない。

(いやいやいや、相手はカディオだものっ)

 慌てて心の中で否定する。
 カディオは手を握っているのがおかしいとも思っていないみたいだ。そのあと、普通に手を放し、建国祭に招待されている近隣酷の要人について共有してきた。

(あれ? これ、私がパートナーなのを想定して話していない?)

 普通、そう共有するのは外交や社交に必要だからだ。
 彼が話しに上げている要人たちは、明らかに王族にとって注目している者たちである。

 シェスティも三年前に、何度か顔を合わせていたから知っていた。

「あとでリストも送る」

 カディオは玄関先でそう言った。

「…………う、うん?」

 彼が護衛たちと馬車に向かう後ろ姿を見送りながら、シェスティの口から遅れてそんな返事が出た。
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