【電子書籍化決定】改題/犬猿の仲の狼王子から、なぜか求愛されています!?(旧題/関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている)
「大丈夫そうですか?」

 メイドの一人にそう尋ねられた。
 これから湯浴みをしたり肌を綺麗にしたり、爪の手入れと数時間のフルコースだ。
昨日までの若干落ち着きのない、たびたび挙動不審に考え込んでいたことを心配しているのかもしれない。

「私はもう平気よ。国内に戻ったら幼馴染として世話を押し付けられるのは当然のことよね」

 途端、質問してきたメイドも含めて、失礼な眼差しを寄越してくる。

「残念でなりません……」
「声にまで出すことなの?」
「お嬢様、殿下のご意思による来訪と花束は、どうお考えを処理したのですか」
「彼って、二十一歳だった頃も子供っぽかったでしょ? ようやく大人になったのではないかしら。私もそうじゃない」

 そう、ずっと喧嘩ばかりなんて嫌だな、と思っていた。

 離れて『寂しいな』と感じた。

 離れている間に縁が薄くなって、もうきっと会うことはない。彼への言葉があんなつまらないものになってしまうなんて――と。
< 50 / 102 >

この作品をシェア

pagetop