【電子書籍化決定】改題/犬猿の仲の狼王子から、なぜか求愛されています!?(旧題/関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている)
(たぶん、そう。カディオは幼馴染として花を贈った。それだけよ)

 頬の熱がぶり返しそうになって、シェスティはメイドたちから顔を背けて、手の甲で頬を拭った。


 一日目の夜、シェスティは家族と揃って王宮へといった。

 お祭りとはいえ社交でそうハメは外せない。
 王家への祝いの言葉と挨拶、それからシェスティにとって三年ぶりの自国での社交の場で、挨拶する人も多かった。

(もれがないよう気を引き締めないと)

 そう意気込んで、家族といったん別れた際には動き出した――というのに、想定外の邪魔が一人、いた。

「学校以来ね」
「シェスティ嬢、会いたかったです! また大変美しくなられて、ひぇ」

 久しぶりに学友の令息と言葉を交わしてすぐ、小さな彼がぶるぶると震え上がる。彼の頭の上にあった猫耳は、かわいそうなくらい伏せられている。

「ぼ、僕、ちょっと用事があわわわわっ、また今度!」

 彼は猛ダッシュして、人混みに突入していく。

(……この光景を見るの、これで何度目かしら)
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