浅黄色の恋物語
 そうそう、あの冷たくて何となくベトッとした汗ね。
冷え性を訴えてくる女性にはよく見られます。 男はそこまで感じないんだよね。
 これは何かって言うと足の方から上がってきた冷えが行き場を失って胸の辺りで滞ってるんです。
それでも出て行かないわけにはいかないから汗という形でジワーーーーっと浸み出してくるわけです。
 サウナや炎天下で流すようなサラサラした汗とは違ってベトベトしてるから嫌な感じが後までずっと残るんですよね。
これを解消するためにはどうするか? 簡単です。
お腹を暖めればいい。

 お腹の中でもお臍の下を十分に暖めることです。
それだけで冷え性は改善されます。 簡単です。
暖める方法はいろいろ有りますね。
感嘆なのはカイロを貼っておくこと。 それで十分。
それだけで頭の悩みから足の悩みまでほぼほぼ解決しますよ。
 そんな話を恵理子姉さんにしますと、、、。
「じゃあ今晩からカイロを貼って寝るわ。」って言ってくれました。
 今日も仕事は終わり。 家に帰るとさすがに疲れますねえ。
背伸びしてジュースを飲んで椅子に座ります。 頭の中はいろんなことが駆け巡ってます。
 6人とか8人とかいうレベルの仕事ですが中身はとんでもなくヘビーなんです。
相手の体調に合わせて施術をするわけですからね。 本当に疲れます。

 以前、小脳脊髄変性症という難病を患った女の子の施術をしました。 これはこれは大変でした。
小脳と脊髄が変性して萎縮していく女性特有の遺伝性難病です。
筋ジストロフィー症に似て筋力が落ちていく不安しか無い難病です。
 当時の運転手の奥さんがそうでした。 出産も控えているのに大変。
そこでぼくが施術を頼まれたわけです。 緊張しましたよ。
 一通り、マッサージをやりましてふと考えた。 (これだけではどうしようもないぞ。)
それでどうするか考えまして邪気を抜き取ることを決意しました。
それが鍼灸師の強みです。 それですぐに決行。
 体を観察しながら足から邪気を抜くことにしまして器具を当てますと、、、。
予想通りに邪気が動き始めました。 それにしても恐ろしいほど強い邪気。
 指先から肩へ雷に打たれたような電撃が走ります。 肩のど真ん中を貫いていきますね。
当てている時間は2分くらいなんですけど右腕が動かなくなるくらいに凄まじい邪気を受けました。
 その日は家に帰っても何もする気が起きません。
夜中まで夕食も食べずに寝込んでしまいました。

 でもね、おかげでその子は体が軽くなったと言います。
2週間ほどでおよその邪気は取り除きました。 「これからは走っても大丈夫だよ。」
そう言うとね、「ありがとうありがとう。」って鳴いてました。
 その後、無事に出産も済ませて施術を再開。 初回のような邪気はもう感じませんでした。
本当なら今でも施術を継続してるんですけど、訳が有って施術は終了。
今はどうしているのかなあ?
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